器は、
単なる生活用具であることを超え、自娯の世界を形づくる重要なものとして、
人々に愛されてまいりました。
「・・・・・・芸術家は無数の琳琅を見、無上の宝璐を知る。」
夏目漱石 『草枕』 より
ご挨拶
この度、ホームページを開かさせて戴くことになりました。
私共、宝璐堂は、開店以来28周年を数えさせて戴いております。
店名の「宝璐堂」は、漱石の『草枕』より戴きました。そこには「芸術家は、無数の琳瑯を見、無上の宝璐を知る」とあり、この言葉は、お造り戴きます方ひとりにとどまりませず、お使い戴きます方々の感性にもつながりますことと存じ上げております。
日本の陶磁を語ります場合、深い影響を受けました東洋の陶磁の歴史より語らざるを得ないかと存じます。
陶磁器は、中国に於いて高い完成度を見、元染付、天啓赤絵、磁州窯、万暦色絵等、多様な作域が全土に展開され、幾多の名品を各々の窯で生み出してまいりました。それらは、ヨーロッパに於きましても、高く評価され賞でられてまいりました。
また、その後に李朝に於いて造り出された白磁は、一目にて我を忘れる美しさを成し、深い内面性をもつものと成っております。
それらは、つくりあげたそれぞれの民族の造り手の心の高さと技量の深さをもの語っているかと存じます。
我が国に於きましては、武家の世となった桃山時代において、大名、古田織部や、茶人、千利休等の指導により、当時かなりの技量を有していた民窯を指導し、より次元の高い志野、黄瀬戸、織部等の高い精神性を有するさまざまな器を生み出してまいりました。
茶の世界では、名工、長次郎、光悦等によりその名を歴史にとどめる名品が生み出され、我が国の陶芸の原点を不動のものと致しました。
私共は、その「日本の美」と成した陶芸を、現代に於いて、歴史を踏まえ、その原点と現代とを通底し、現代の陶芸を魅力あるものとされている造り手の方々を訪ね求めて、開店に先立って、日本中への歩みを始めさせて戴いてまいりました。
「よきもの」と店の責任と致しましての適切、誠実な価格との両立をするものを求めましての、その課題がいかに大きなおもいものであったかを、現実のなかで実感することになりました。
広く豊かな我が国を含む東洋陶磁の、この偉大な歴史を継承すると言うことは、造り手の優れた感性と、形に成しうる卓抜な技量とを要求するものであるかが、そして、そのような存在が、いかに希少であるか、また価格に対しましては、御人柄に負うところ大なることも、誠に厳しい希求でありますことは、存じ上げながら、長い歩みを重ねながら識りました。
御客様に、御好意的に、「また、行脚ですか」とにこやかに、あったかな笑顔を向けて戴いて、おはげましましのお言葉を戴き、喜びと責任をもって、仕事の合い間を縫って夏休み、春休みは一週間、10日と東へ西に、歩かせて戴いてまいりました。
お蔭様にて、天の恩寵と思われます造り手の方々にお出会いさせて戴きまして、お客様方にお喜び戴き、御見識お高いお客様方にも御満足戴き、28年間のご愛顧を賜ってまいりました。
お嬢様方にも、御満足戴き、御見事な御結婚の御用意をして戴きました方や、「これは、私の宝もの」と両手で愛しく抱きしめて戴き、お倖せな笑顔を下さった方、また、御奥様の方で、「宝璐堂さんに伺うようになりまして、本当にいい器の大切さがわかりました。今までの器がなぜ使えていたのかわかりません。」と心からのお喜びがおありとのことでございました。
絵画でも彫刻でもない「陶芸の世界」に於いて、いまや中国、韓国を、日常の器においてはしのぎ、単なる工芸にとどまらない、高い芸術性を有する、世界に冠たる「日本の陶芸」は、「お茶の世界」との深いつながりと発展のなかで、社会的にも、高い役割をになってまいりました。
文明の著しい発展のなかにおきまして閑却視されているかに思われます「心の世界」にとりまして、「手乗り」、「火色」、「釉調」等の自然とのふれあいは、心に「自然の心」を伝え、心を安んじ、心を蘇生させ、精神を育み、美しい生命力をもたらせていくものと存じます、そこに於いて、文明との美しい安らかなつながりを見、大きな美しい世界の確立を見るかと存じます。
美しい自然の四季に恵まれ、海や山や野の幸と共にあります一体化した日本の文化としての「やきもの」は、生活を大きく包摂するこよなきものと存じます。
いいものは御手に、目にして戴かなければ本当のよさは、御理解して戴けないと存じ上げております。ぜひ、御来店賜りましてお出会い下さいますようお願い申し上げます。
また、造り手の名前は、絵画、彫刻と異なり、最終的に窯上がりに依存をせざるを得ない過程をもち、釉調、焼成の妙が問われます。プロセスを経ますことは、単なる造り手の名前で語り得ないものであり、と、させて戴きますのが、妥当かと考えさせて戴いております。その上に於いて、各々を御覧戴きまして、作家の存在、また社会的に了承された価格も、それは、物を通しての名前であり価格とならざるを得ないかと存じます。私ども、開店以来28年間、価格のみの提示で恙無くお買い上げを戴いてまいっております。
何卒のご理解を得させて戴きますればありがたく存じあげます。
2008年1月25日
宝璐堂
また、今日に至りますその間、大きな存在であられながら惜しみないお力添えを賜りました、河本五郎先生、叶松谷先生、浅野陽先生方が世界を異にされ、その惜別の思いと現実の前にたじろぎます心を奮い立たせて歩ませて戴いてまいりました。
その私たちの心を励まして戴きましたのは、温かな御心でお力添えを賜りました、御客様方と真摯に作品に取り組まれ、御自身の世界をより豊かな魅力ありますものに、発展させられてこられました。作家の方々が、誇りをお持ちになられます作品を御出品戴き、息の通いあいます温かな人間関係を成立させて戴きました上に、歩ませて戴きました今日でありますことを深く実感させて戴いております。
ここに改めまして、ありがたく心より厚く御礼申し上げます次第でございます。
・いい湯呑ひとつでほころぶいい笑顔
・手のりよく心よく茶の香り立つ
・人の和に華ある器匂いやか
いい器との出会いは手のぬくもりと通いあいますひとつの器から始まり極まりますかと存じあげております。さらなる、よきものを、と心より希い歩ませて戴きたいと存じ上げております。
《更新履歴》
・2008年8月9日
企画展のお知らせ/08年8月 追加
・2008年6月21日
企画展のお知らせ/08年6月 追加
・2008年6月14日
企画展のお知らせ/08年6月 追加
・2008年3月15日
花器×1点 歳時のやきもの/お雛様、企画展のお知らせ/08年3月 追加
・2008年1月26日
皿×1、鉢×2、茶器×1、酒器×2、茶道具×1、花器×1点 追加

